新型コロナ禍におけるリモートワークの知見共有

はじめに

本記事は以下スライドを文書にしたものです。

speakerdeck.com

本記事は新型コロナ禍による環境の変化にともなって業務に支障を来している社会人に向けて、いくつかの課題と、それについての対策案を書いたものです。想定読者はこれまでオフィスに通勤していたけれどもリモートワークになって困っている人、および、新卒入社でいきなりリモートワークになって困っている人たちです。zoomなどの音声/ビデオによるコミュニケーションツール、slackなどのチャットツールは使える状態であると仮定して書いています。

本記事は新型コロナ禍より前からフルリモートワークをしていて、かつ、本記事で書いた状況、問題のすべてに遭遇してきた筆者の経験をもとに書きました。

同僚とのコミュニケ―ション

新型コロナ禍より前から働いていたかたはコミュニケーションコストが高くなったと感じることが多いのではないでしょうか。たとえば、これまで口頭で済んでいたことをいちいちzoomやslack経由でしなければならなくなった、などです。コミュニケーションコストが高くなると自然とコミュニケーションをとるのが億劫になってきてチームが機能不全に陥ることも珍しくありません。

このようなときに明にコミュニケーションを取りやすくなる施策が有効ではないかと考えています。具体的には定期的に雑談的なミーティングをして個々人の思いを吸い上げておくことです。それだけではなく、zoomで誰でもいつでも入れる雑談部屋を用意して、疲れたらそこに入ってどうでもいい話をするなどです。作っても使われないプラットフォームは無意味なので、なんとなく人と話したくなったときに「雑談zoom部屋に行こう」と誘ったり、それを気軽にできる空気を作るのもよいでしょう。

新卒入社した人や転職した人はもっと大変でしょう。まず、誰がどういう役割なのか、どういう人となりなのかがリモートだと全然つかめません。このため、相談しようにも誰にすればいいのかわからず、かつ、既存の社員からしても困っているかどうかがわかりにくいです。

このような問題を避けるために、新しく入ってきた人とのアイスブレイクのための雑談の機会をなるべく早く設けるのが重要だと考えます。対面で話せていたようなときは入社した後に数日してから懇親会をする…というようなやりかたが一般的だったでしょうが、今は自然に発生する雑談は期待できません。また、このような雑談においては既存の社員同士で盛り上がるのは新しい人に疎外感を植え付けるので避けたほうが無難かと思います。

気持ちの切り替え

オフィス勤務ではないということは出勤という仕事とそれ以外を分けるスイッチの一つがなくなったということです。このため、気持ちの切り替えができずにずっと気持ちが張り詰めたままという例を少なからず耳にしました。また、仕事を終えたとしても家に仕事ができる環境が整ってしまっているので、ついつい会社のメールチェックをしてしまったり、というのも珍しくありません。

このようなときの対策として、仕事とそれ以外のときに使うものは完全に分けてしまうという手があります。たとえばPCや机などです。ただ家の広さは有限なので、これは簡単にはいきません。せめて仕事が終わった瞬間に会社用のPCは電源を抜く、外に出かける、仕事と関係ない趣味を作って没頭する、などのスイッチを作るとよいかと思います。わたしはやったことがないですが仕事前後で着替えをするなども効果がある人がいるようです。

身心の健康

新型コロナ禍はこのウィルスにおかされなくても心身の健康を害していきます。ここでは身体の健康と心の健康に分けて課題と対策案を書きます。

身体の健康

身体の健康に影響をおよぼすのはなによりも外出機会の喪失、および座りっぱなしの機会の増加による筋力低下、体重増加、体の凝りなどが大きいでしょう。この問題についてはたとえば寝具や椅子、机に可能であれば投資をするという方法があります。これらは高ければいいというものではないのですが、ある程度までの金額であればQoLを劇的に上げられるケースが珍しくありません。

お金がないわけではないけれども「もったいない」という理由で最安のものばかり使ってきたというかたは、一度家具屋などで安くないものを試してみて、これは自分に合うとおもったら買ってみるとよいと考えます*1。中古市場もあるので、抵抗がなければ使ってみるのもありかと思います。

他には運動やストレッチが有効です。定期的に長時間の運動が難しくても、気づいたときに一分くらいかけて軽いストレッチをするだけでもだいぶ違います。筆者は一息つくたびに首の凝りをほぐしていますが、やる前と比べてずいぶんと体調がよくなりました。休憩時間や思考時間にはあえて立ってうろうろしてみるというのも一つの手です。とにかく座りっぱなしというか同じ姿勢でずっといるのはよくないです。

心の健康

心の健康については新型コロナ禍以後に多かれ少なかれ問題が出たという人はかなり多いようです。症状の出かたは人によって全然違うのですが、眠れない、気持ちがふさぎ込む、イライラする、集中できない、などなどです。この手のメンタル疾患の兆候については厚労省のサイトなどを見ればいろいろ書いています。

解決策については、やばそうだと思ったら精神科ないし心療内科にかかるのが一番かなと思います。これらの科にかかるのに抵抗があるのは理解できますが、健康のほうが重要です。メンタル疾患をこじらせると二度と社会復帰できなくなることもあるので、少しでも危ないと感じれば行ってみるとよいかと思います。

友人知人に悩み相談をすることもあるかと思いますが、そのとき具体的な対策についてのものは避けたほうがいいかもしれません。彼らはあなたに親身になってくれるかもしれませんが専門家ではないので、見当違いのことをいって治療を遅らせることもあります。下手をするとオカルトにはまったりカルトに走ったりするリスクもあります。世界には正常に判断ができなくなっている弱い人を狙っている人が残念ながらそこかしこにいます。

おわりに

最後になりますが、本記事に書いた施策案は耳ざわりがよいものが多いですが、全員に当てはまるようなものではありません。たとえばそもそもコミュニケーションが苦手な人にとっては定期的な雑談などは苦痛でしかなく、フルリモートワークで誰とも話さないという現状が最高なもかもしれません。このため、あえて「対策"案"」という表記をしました。無理強いはせず、個々人に合わせて対策を打っていた抱くといいかと思います。

読者のみなさまやその関係者のみなさまがこの社会の劇的な変化を乗り切れること、および、本記事がその一助となれることを願います。

*1:なければ買わなくていいです。相性の要素は大きいので