スタンディングデスクを一年以上使った感想

2021年にスタンディングデスクを買ってからしばらく経ったので、感想を書いておきます。対象読者は一日中デスクワークしてるような人です。わたしのようなリモートワークのソフトウェア開発者なんかがぴったり当てはまると思います。わたしは医療関係者ではないので、医学的にはデタラメ言ってるかもしれません。「個人の感想」というやつです。

いきなり結論から言うと、いまのところ「スタンディングデスク買ってよかった。座ってばかりのときより楽になった」という感想を持っています。ただし、いくつかの注意事項付きです。

  • 立ったり座ったりをこまめに切り替えるとよい。「座り仕事が駄目」というよりも「ずっと同じ姿勢なのが駄目」なんだと思う
  • 立ち仕事するときは足の下にマットを敷いたりクッションがある靴を履いたりするとよい。わたしはヨガマットとワークマンだったかで買ったゴム底の靴を使っている
  • 痩せたとか筋肉がついたとかは別にない。そういうのをお望みなら、運動したり食生活に気をつけたりが必要
  • これだけで体が柔らかくなったりもしない。「凝りにくくなる」だけ。柔らかくしたければ別途ストレッチが必要

わたしがそもそもスタンディングデスクをほしかった理由は2つあります。一つは同僚が愛用していたのを、前から「いいなあと」思っていたことです。もう一つはフルリモートワークで毎日何時間も座り仕事をしていてロクに体を動かさないのがまずいなと思っていたからです。思っていただけでなく、年々背中や腰が重くなってきて体が悲鳴を上げつつあるのを体感していました。これらの理由によりスタンディングデスク購入に踏み切りました。

買ったのはこれです。

この製品をとくに狙って買ったわけではなく、なんとなく思い浮かべていた以下の要件を満たすものの中てよさそうと思ったのがこれだっただけです。

  1. 天板の横幅が可能な限り広い
  2. キーボードスライダー付き

aについては天板の横幅を広くしたのは正解でした。最初は天板にはノートPCだけを置ければいいかとも思っていましたが、だんだん欲が出てきて、置くものはどんどん増えていきました。いまではマグカップ電気ケトル、茶器、電源タップ、ディスプレイ、その時読んでいる参考書、などなど、いろんなものが置かれています。

bについては天板の奥行きをむやみに長くせずにキーボードやマウスが収納できるのは思っていた以上に便利でした。また、天板より少し低いところにキーボードがあるのはかなりしっくり来ました。スライダーがなければ天板の上に高さ調節用の何かを置いて、さらにその上にPCを置くといったことをしていたかもしれません。

机の高さ調節は手動でするものを選びました。なぜかというと、私は田舎住まいで部屋のスペースに比較的余裕があるので、普通に座って使う机とスタンディングデスクを使い分けているからです。この場合、最初に立ち仕事用に高さ調節してしまえば二度と再調整しなくて済むというわけです。一つの机で立ったり座ったり…ということをやりたいかたは自動昇降機能付きのものなどを選ぶとよいかと思います。手動だと、よほどマメな人でないと座り仕事モードか立ち仕事モードのいずれかのまま二度と調整しなくなると思います。とくに机の上に置くであろうものが多い人ほどそうなると思います。

スタンディングデスクを買ったその日は嬉しくなって一日中立ってたんですが、一日の終わりにふと気付くと背中と腰がぶっ壊れそうになっていました。この体験によって「立ってればいいというわけではないのだな」ということか身に沁みました。また、その日は何も考えずに洋間に素足で立ってたのも悪かったです。仕事してるかどうかという問題ではなく、こんなことしていたら身体がもつわけありません。

次の日からはこういうことが起きないように、上述のようにクッション性のあるマットと靴を使い、かつ、1,2時間ごとに休憩のタイミングで机を変えることになりました。そのあとは快適な環境を手に入れました。導入前よりはるかにQoLか上がったと思います。ただ、これは「座っているだけの状態を無くせた」にすぎないので、それ以外の、たとえば筋力向上などの効果は(ひょっとしたら少しはあるのかもしれませんが)とくに感じませんでした。

では、誰かに何かの参考になることを願いまして、終わり

好きなの使って他のをけなさない

私が生業とするソフトウェア開発において、OSやコードエディタやプログラミング言語など、様々なソフトウェアを使います*1。これらについて私が使っているものを理由付きで書くと次のようになります。

  • OS: Ubuntu 22.04
    • 細かい設定をしなくてもそれなりに使える。よく普及しているから色々な情報を得やすい
  • コードエディタ: VSCode
    • 細かい設定をしなくてもそれなりに使える。Remote SSH extensionを使ったリモートマシン上での開発が楽
  • プログラミング言語: 主にGo
    • 使い慣れているから。システムプログラムをするから。覚えやすいから

これらにそれなりの愛着はあるものの、今後置かれる状況によって、どんどん変わってくるでしょう。じっさい10年くらい前はGoはほとんど使っていなくて、Cプログラマでした。

私はこんな感じですが、中には特定のソフトウェアに愛情を注ぐ人もいます。それ自身はとても良いことであり、うらやましくもあります。しかし、中には愛情が行き過ぎてしまって、他の人もこれを使うべきと考えて人に押し付けようとしたり、場合によっては他のソフトウェアをけなしてまで自分の好きなものを上位に置こうとする、などです。

わたしはこのようなことをするのは無益、もっというと逆効果だと思っています。たとえばわたしは自分が使っているものをけなされるといい気はしませんし、押し付けられるのは嫌です。さらにいうと、そのソフトウェアを使ったり、あるいはそのソフトウェアに言及したりすると面倒な人に絡まれるのは嫌なので使いたくないと思うことすらあります。

というようなわけで、好きなものがあれば「こういう理由で好きだ」と主張して、必要ならば別のものとの比較をして、自分は楽しそうに使って、そのときにわざわざ他のものをけなすような真似をしなければ、人の興味を引きやすいし普及もしやすくなるのかなと思います。

*1:他にももちろん山ほどありますが、話を簡単にするため割愛します

自分のコーヒー環境とか

先日友人とコーヒーについて話していたらなんか楽しくなってきたのでメモがてらここに書きます。対象読者はコーヒー好きか、あるいはコーヒーに興味がある人で、かつ、他人の考え方や装備にも興味があるかたです。

わたしにとってのコーヒーの役割

最初に、まずはわたしにとってのコーヒーの役割について書いておきます。

  • コーヒーの味と香りを嗜好品として楽しみたい
  • 朝食がパンが多いので、そのときの自分と家族の飲物として
  • 同じ豆でなるべく多くの味を楽しみたい
  • 丁寧に淹れて、香りを楽しんで、という行為によってあわただしい生活にゆったりした時間を作りたい
  • かっこいい器具を見て気分を良くしたい
  • 家の庭や出張などでの宿泊先でも飲みたい。理由はいいのを飲みたいというのに加えて「外でも飲める」という事実で勝った感があって幸せになれるから
  • カフェインに弱くて飲みすぎるとイライラしたり不眠になったりするので、あんまりたくさんは飲まない

選ぶ器具、および飲みかたやタイミングも、この考え方をもとに決めています。

フルーティなものを好みます。苦いのとか渋いのはあんまり好きではないです。苦いものは甘いものを食べるときに例外的に飲むことがあります。 豆の鮮度は味に強く影響すると感じるので、豆は少し(だいたい100gづつ)だけ買ってすぐ飲むようにしています。豆屋でいろんな豆を眺めたり、普段ないやつが入荷 されていないかチェックするのが好きなので苦になりません。

豆は常温でキャニスターで保存しています。冷蔵や冷凍が嫌というわけではなくて、単にめんどくさいからそうしているだけです。

豆は豆の専門店で買います。あんまり古いのは困るので「焙煎何日以内のものだけ置いてる」と謳っているものを買います。通販でもたまに買います。 通販のときは注文を受けてから焙煎するようなものを選びます。一つのものをずっと飲むというよりは、新しいものを見つけたら買うようなことをします。

淹れ方

同じ豆でいろいろな味を楽しみたいので、ペーパードリップ、サイフォン、ネルドリップを模したもの(後述)、フレンチプレスで飲みます。 それ以外のものは合わないわけではなく単に試していないだけです。ネルドリップについては洗うのがめんどくさそうだからやってないです。

ペーパードリップは本やyoutubeの動画を見るなりして、なるべく単純な淹れ方をするとおいしく入れられます。自己流よりだいぶよくなりました。 ただし腕を上げるとどんどんうまくなる…というよりは「失敗しないようにする」のが大事と思ってます。いまのところ最高のコーヒーを求めて 淹れ方に工夫するようなことはしていませんが、将来的にはやるかもしれません。淹れ方よりも豆の種類と品質、鮮度のほうが味への影響がはるかに 大きいと感じます。あとペーパードリップは1杯分を淹れると湯量調節などがうまくいかないことが多いので、すくなくとも2杯ぶん淹れて、 2杯目は後で飲むか家族にあげたりすることが多いです。

お湯は多めかつ温度は低めで、おおよそ90度くらいで淹れます。挽き方は粗めです。理由は香りを楽しみたいのと、上述の通り、苦味が苦手だからです。

器具

いろいろ器具を持っています。商品へのリンクを張っていますが、同じ種類のいろいろな器具を買って比較したわけではないです。 単に自分が持っているものを書いただけです。

かっこいいから買いました。ガラスのドリッパーと木製サーバーのセットです。

1~2人ぶん淹れるときに使うサーバーです。V60が特別好きというわけではなく「ペーパードリップは一種類でいいか」って思ってるのと、なんとなく円錐が好きだからこれにしてます。

ネルドリップっぽいものが淹れられるとの触れ込みのステンレスドリッパーです。ネルドリップは後始末とかめんどくさそうと敬遠してたんですが、これならと思って買いました。 ただ、わたしはネルドリップのコーヒーをあんまり飲んだことがないので、ほんとにネルドリップに近いのかはわかりません。ただ、ペーパードリップとは全然違う味になるので 重宝しています。紙のフィルターがいらないのはいいんですが、粉が詰まりがちなので、毎度丁寧に歯ブラシなどで洗ってあげる必要があるのでちょっとめんどくさいです。

使用後のドリッパーを置くのに便利です。上述のガラスのドリッパーについては残念ながら形が合わなくて 寝っ転がすような形になりますが、まあ使えなくもないのでセーフ。

フレンチプレス器です。フレンチプレスのなにかいいのないかなと探していたら友人が教えてくれたので買いました。 かっこよくてとてもよいです。あと仕事中に悠長にペーパードリップしていられないときに、豆挽いてお湯だけ沸かせば 粉とお湯をここに入れて数分放置でできあがるので、とくに仕事中に重宝しています。

www.bodum.com

電動サイフォンメーカーです。「サイフォンかっこいい!ほしい!でも子供が触ると危ないから無理だな」とおもってたんですが、電動があったのでこれだと 飛びついた…といいたいところですが友人に誕生日プレゼントにいただきました。とてもいいのでおすすめです。 粉と水を入れたらスイッチひとつでできるのがよいです。気持ちを落ち着かせたいときはできあがるのを 眺めるのも楽しいです。ボコボコいう音と、サイフォン効果でお湯が上がったり下がったりするのを 見るのが楽しいです。

ペーパードリップは飲み終わったあとのカスはフィルタごと包んで捨てればいいんですが、それ以外のものは そうはいきませんので、このネットにカスを捨てて、さらに水洗いします。ビニールではないので袋に水が溜まらず、 かつ、目が細かいので微粉以外は粉が落ちることもないので大変よいです。

かっこいいと思って買ったキャニスターです。だいたいいつも豆を3種類常備しているので3つ買っています。 最近は豆が透けるやつも欲しいなあとか思っていますが、キャニスターをそんなに持っててもしょうがないかなと思って、まだ手を出していません。

温度調整機能付きの電気ケトルです。温度は93-96度、および100度にできます。わたしは上述のとおり あんまり温度を高くせず、93度にすることが多いです。普通の電気ケトルに比べた利点は温度調整が できることに加えて、注ぎ口が細いのでケトルで沸かしてからドリップポットに移し替えずにそのまま ドリップ工程に移れることです。

淹れるたびに毎回必要な豆の量を測って挽くので、大変便利です。目分量でもいいかもしれないんですが、 0.1g単位で測っているとちょっと落ち着いた気分になれるので、あえてスケールを使っているというところもあります。

1~2人ぶんなど、少量だけ淹れたい場合に使っています。かわいくてよい。小さいので外出先にはこれを持っていきます。

グラインダーです。楽だし粉の粒度も調整できるのでとてもよいです。定期的に メンテする必要がありますが、それもまた心が落ち着くのでよいです。

外泊するときに持っていく折り畳み式の電気ケトルです。日本だとホテルに電気ケトルが置いてあることがほとんどでしょうけど、 海外出張などのときは置いてないことが多いので便利です。別にコーヒー飲まない人でも便利です。

外出先でペーパードリップする用。小さくたためるのでよいです。昔はバネット使っていたんですが 今一つ安定性が悪いのでこれにしました。

ハンドミルです。小さくて取り回しがよいし、豆の粒度も変えられるのが便利です。 ゴリゴリやってると豆の香りがしてくるのと、無心になれるのがよいです。おもに 外出先で使いますが、家でも気分を落ち着かせたいときにグラインダーのかわりに 使うこともあります。

あとこれは非売品なんですが、自分で革細工をしている友人からいただいたペーパーフィルターを入れるケースです。 外出先に持って行ってます。

コーヒーの淹れ方とか器具や豆の種類、その他うんちくなどが書いています。基本を知るのに役立ちました。

実は他にも何冊かあるんですが、どれもまあまあ似たようなことが書いてあります。書店でフィーリングが 合いそうなものを一冊適当に買って読めばいいかなと思います。

おわりに

こんなかんじです。次は焙煎小屋が欲しいです。

「[試して理解]Linuxのしくみ ~実験と図解で学ぶOS、仮想マシン、コンテナの基礎知識【増補改訂版】」が発売されます

拙著、「[試して理解]Linuxのしくみ ~実験と図解で学ぶOS、仮想マシン、コンテナの基礎知識【増補改訂版】」が10/17日に発売されることになりました。本記事はその宣伝のためのブログエントリです。

まずは本書がどのようなものかについて説明し、その後に、すでに第一版を読まれている方向けに第一版と本書の差分について説明します。

どんな本なのか

筆者は過去にLinuxカーネル開発をしていたのですが、そのころから次のような思いをずっと持っていました。

  • OS、とくにOSカーネルについての広く浅い知識はOSカーネル開発者だけではなく多くの技術者にとって役立つはず
  • 当時OSカーネルについての知識を得ようとすると、OSを作ったりサポートしたりする人用の難しくて分厚い本の読解が避けられないという状況をなんとかしたい

これらの思いを踏まえ、Linuxを題材としてLinuxカーネルのソースは一切読まずに、実験と図解によってLinuxカーネルを広く浅く理解するというコンセプトの本が2018年に「[試して理解]Linuxのしくみ ~実験と図解で学ぶOSとハードウェアの基礎知識」として生まれました。

本書はこの第一版にさまざまな改善を加えたパワーアップ版という位置付けです。

本書は以下のような12個の章からできています。

  • 第1章 Linuxの概要
  • 第2章 プロセス管理(基礎編)
  • 第3章 プロセススケジューラ
  • 第4章 メモリ管理システム
  • 第5章 プロセス管理(応用編)
  • (NEW!) 第6章 デバイスアクセス
  • 第7章 ファイルシステム
  • 第8章 記憶階層
  • 第9章 ブロック層
  • (NEW!) 第10章 仮想化機能
  • (NEW!) 第11章 コンテナ
  • (NEW!) 第12章 cgroup

各章の詳細な説明はここでは省略しますが、冒頭にリンクを張った書籍ページに実際の紙面のサンプルや目次などが掲載されているので、興味のあるかたはごらんください。

第一版との違い

第一版は幸いにも多くの読者にご購入いただき、かつ、筆者のねらい通りの効果を得られたというフィードバックもたくさん得られました。その一方で、次のような厳しいご指摘もいただきました。

  • DockerやKubernetes全盛のいま、仮想化、コンテナについて触れられていない
  • 実験プログラムがC言語で書かれている時点で読む気が失せる
  • 誤字脱字などの不備が多すぎる*1
  • 全体的に図が素っ気なくて殺伐としている

増補改訂版はこれらすべてが大幅に改善されています。

まず、新コンテンツとして前述した通り、仮想マシンのしくみについて述べた「仮想化機能」の章と、仮想マシンより軽量にアプリケーション実行環境を作る「コンテナ」の章を追加しました。これら二つの章とかかわりの深い、システムのリソース制御について扱う「cgroup」の章も追加しました。さらにカーネルがデバイスを具体的にどのように制御するかについて述べた「デバイスアクセス」の章も追記しました。第一版から存在していた文書も、前のまま残しているわけではなく、出版後にいただいたフィードバックをもとに大幅に加筆修正をしています。おそらく第一版から半分くらいは書き換わっているのではないかと思います。

実験プログラムについては、馴染みのある方が(すくなくともC言語よりは)多いであろうGo言語とPythonでほとんど書き直しました。グラフ化する方法が知りたいという要望も少なからずあったので、実験プログラムの結果をグラフ化するスクリプトも本書に掲載しています。あらためて筆者自身で第一版と第二版を比較してみると、ソースの可読性が大幅に上がったと感じました。サンプルコードのリポジトリはすでに公開しているので、興味のあるかたはごらんください。

誤字脱字などの不備については、不備を可能な限り少なくするために、技術のプロ、および、文書表現のプロにかたがたにあらたに本作りに参加していただきました。技術面では、様々なバックグラウンドを持つ20人以上の技術者のかたがたからのレビューを受けました。文書表現の面では、技術レビューが終わった後に、外部校正のかたに文書を磨き上げていただきました。

図の殺伐感については、第一版はモノクロだったものを今回はフルカラーに生まれ変わったこと、および、デザイナーさんに頑張っていただいて、私が書いた殺伐とした図をかなり図をポップにしていただいたので、見やすさが大幅に上がりました。

終わりに

長々と説明してきましたが、本書のコンセプトや各章のコンテンツに興味のあるかたは、是非本書をお買い求めいただけたらと思います。ご自身はすでに本書を必要としないレベルにOSカーネルのことをご存じのかたも、「この人にカーネルの知識が少しあれば伸びそう」といかたに本書を勧めていただけると助かります。また、第一版から大幅に改善していますので、第一版を読まれたかたにも、ぜひ読んでいただけたらと思います。

販促用動画も作ったので、よろしければこちらもごらんください。おわり。

youtu.be

*1:現在市場に出回っている3刷においては指摘された不備はほぼすべて修正されています

当たり前のことをやっているだけで凄い

IT業界で10年以上過ごしている中で、凄いと思う人達にたくさん出会ってきました。最初はとくに新卒で入社した会社の先輩方が中心でした。ここでいう凄さとは何かというと「仕事を片づけるのが早い」とか「成果物の完成度が高い」などです。当時、こんなふうに自分もなってみたいという思いが強くて必至で真似しようと試行錯誤したのですが、全然うまくいきませんでした。ありていにいえば、表面上の凄さだけを見ていたことが失敗の原因だったかと思っています。早く仕事を片づけようと焦り、結果完成度も下がり…と、さんざんでした。

その後はアプローチを変えて、彼らの日常の何気ない振る舞いなどを観察することにしました。すると、彼らのうちの多くの凄さの源泉は驚異的に頭の回転が速いとか、ほかの誰もが持っていない異能力を持っていたりするわけではなく、世間で当たり前と言われていることを息をするようにやっていることだとわかりました。たとえば以下のようなものがあります。

  • スコープ内のことだけやる
  • 仮説と検証を愚直に繰り返す
  • 記憶より記録に頼る(紙/やPCに状況を記録)
  • 同じ間違いを二度しないための仕組みを作る

これらは聞くだけだと「そりゃそうだ」と思うだけで、「社会人なら全部できて当然」といわれたりすることもありますが、実のところ社会に出てからこれのことができているのは少数派といってよかったです。「当たり前を継続できるのは異能力では?」という考え方もあるでしょうが、後天的に知能を高めたりするよりは現実的かなと思います。何もできないうちから背伸びして人よりも秀でたプラスアルファを求めるよりも、まずは基本に立ち返って、当たり前を実践して、体に定着させるのもよいかなという話でした。そうするとプラスアルファが後からついてくるのではないかと思います。

kindleの本が全部消えた話(4) 完結編 ~ 書籍のリスト復旧と自分の記憶の誤り

6/1
- 誤字修正。amacon -> amazon
6.11
- kindleの電子書籍がすべて復旧したことを追記
- amazon prime videoやamazon prime musicの不具合についての顛末を追加

以下エントリの続きです。

satoru-takeuchi.hatenablog.com

概要

  • 問題
    • 4月9日にkindleの本が全部消えた。その後に新たに買った本も読めないように見える。消えた本はわかっている範囲で300冊以上、総額は恐らく30-60万円程度
    • amazon prime videoやmusicなどにも(少なくともAndroidアプリからは)アクセスできなくなっている
  • 問題発生契機
    • 問題発生契機は、かつてamazon.co.jpのアカウントと統合したamazon.comのアカウントを消したこと
  • 解決方法
    • amazon.co.jpの別アカウントを新規作成の上、そこに私が持っていた(正確には「読む権利を持っていた」)電子書籍のリストを復元してもらえることになった
    • amazon prime videoやamazon prime musicにアプリからアクセスできなくなっていた件については、問題が発生していた期間のamazon primeの料金を新しいアカウントにamazonギフトとしていただいた
    • 古いアカウントは後日閉鎖することになった
  • その他
    • アカウント削除について、私はずっとamazon.co.jpのサポートのかたの指示に従ってやったと思い込んでいたが、事実は異なっていたらしい(わたしは通話記録を聴いたわけではないので「らしい」と表記)。通話記録の提供は断られた
      • アカウント統合にまつわる別トラブルがサポートのかたとやりとりしても全然解決しなかったので、それを解決できるのではないかという意図で「使っていないamazon.comのアカウントを閉鎖していいのか」と私が質問した
      • それに対してサポートのかたが「そうですね」と回答した
    • アカウント統合後にamazon.comのアカウントを消すとamazon.co.jpのアカウントで購入したkindle本が消えるのはamazon.comのヘルプページに書いているし、アカウントを削除しようとしたときの注意書きにも書いている
      • amazon.co.jpのかたいわく、これは仕様であり変更予定もない

前回からの差分

本日6/1にamazon.co.jpのかたから以下のような連絡をメールでいただきました。

  • カスタマーサービスの対応履歴(電話だったので通話記録)を確認したところ、amazon.co.jpのサポートがamazon.comのアカウント閉鎖を案内した事実はなかった。しかし「使用していないAmazon.comのアカウントを閉鎖してもいいのか」といった趣旨の私(ここでいう私はこのブログエントリの筆者のこと)の質問に対して「そうですね」と返答していた*1
  • アカウント閉鎖によって起こりうる影響について追加の案内をすべきだったが、それをしなかったのは真摯に受け止め、今後の改善に努める
  • アカウント閉鎖を案内した事実はなかったが、電話において閉鎖による影響の説明をしなかったこと、および、これまで調査に時間がかかってしまったことより、新規作成したアカウント上に電子書籍を復活させる対応をする。
  • 新アカウント用のメールアドレスと失われた書籍のリストを提供してもらえれば一週間ほどで復旧させられる
  • 迷惑や心配をかけていることをお詫びする

というわけでアカウントと書籍のリストを提供すれば本件は終わりということになりました。リストは購入履歴をたどれば作れそうです。

この後双方が持っている情報(わたしは書籍の購入履歴、先方のものはどこからデータを持ってきたのか不明)を照らし合わせて、双方合意した内容で新しいアカウントに書籍のリストを復旧していただきました。その後、amazon prime videoやamazon prime musicにアプリからアクセスできなくなっていた件についても、問題が発生していた期間のamazon primeの料金を新しいアカウントにamazonギフトとしていただきました。旧アカウントは今後もデジタルコンテンツにまつわる不具合が発生する恐れがあるので、双方合意のうえで、今後のデジタルコンテンツの利用はせず、折を見て削除することにしました。

なお、今回のわたしの問題はamazon.co.jpのサポートのかたの発言がamazon.comのアカウント削除の動機付けの一つになっていたという特殊なケースなので、たとえば別のケースではこのような対応がされるかどうかは不明です。

私の落ち度

上述のように「amazon.co.jpのサポートのかたの指示によって」amazon.comのアカウントを消したというのは事実ではなかったようです。「アカウントを消していいのか」という問いに対して「そうですね」と回答されたことについては「それはまずい」と止めてほしかったところですが、それはそれとして「指示」と「質問に対する不適切な回答」はまったく別の話なので、指示は無かったという点については私の誤りです。上記連絡への返信時にamazon.co.jpおよび担当者のかたに謝罪いたしました。この場でも重ねてお詫びいたします。

もう一点、amazon.comのアカウントを閉鎖すると、そこに結びついている別の国のアカウントもすべて削除される(私の場合はアカウントは残ってデジタルコンテンツが使えなくなったという違いはありますが)という仕様については、危なっかしくて変な仕様だなあとは思いますが、「サポートがやっていいといったから」と、この注意書きを見落として閉鎖してしまったのはまずかったです。仕様は仕様です。

その他に本件を通じて得たこと

  • amazon.comamaczon.co.jpのアカウント結合をすでにしているかたはamazon.comのアカウントを消してはならない
    • amazon.co.jpのアカウントを消したらamazon.comのアカウントも消えるのか、など、別のパターンだとどうなるのかについては調べていないのでわからない
    • 現在はアカウント結合はできないようになっている
  • 任意のトラブルで裁判を起こしたいとなったとき、損害が数十万円程度の場合、弁護士を立てての裁判は割に合わない
    • 今回わたしは詳しく調べなかったが、比較的安価に裁判を起こせる本人訴訟や少額訴訟という手段もあるらしい
  • サポートとのやりとりは音声にせよテキストにせよ、自分の手元に記録を残しておくのは大事。記憶はあてにならない

おわりに

疲れました。本が復旧するようでよかったです。あと「私の落ち度」節に書いたことについて、大反省です。

*1:どういう文脈での発言だったのかを把握しておきたかったのでダメ元で通話記録の提供をお願いしましたが、断られました。

kindleの本が全部消えた話(3) 「仕様です」編

2022/5/27 変更

- この挙動が仕様ということを示すamazon.comのヘルプページへのリンクを張るとともに引用した
- amazonのサポートに、amazonの指示によって問題のある操作をしたことがわかる通話履歴があるはずの日時を伝えた
- amazon.comのサポートセンターに諸々書くにした旨追記
- こちらからamazonへの要求について補足

2022/6/1 変更
- 「サポートの指示によってamazon.comのアカウントを消した」のではなく「使用していないamazon.comのアカウントを閉鎖してもいいのか」という趣旨の質問を私がしたのに対して「そうですね」と回答されたということがわかったので、訂正。

編集前の記述には取り消し線を引いて、編集後の記述は強調表示しました。

NOTE: 上記変更点にもあるように、「サポートの指示によってamazon.comのアカウントを消した」という私の認識は誤っていたことがわかりました。これについてはamazon.co.jpのかたがたにメールで謝罪いたしました。

以下記事の続きです。

satoru-takeuchi.hatenablog.com

satoru-takeuchi.hatenablog.com

これまでのあらすじ

  • 4月9日にkindleの本が全部消えた。その後に新たに買った本も読めないように見える。消えた本はわかっている範囲で300冊以上、総額は恐らく30-60万円程度
  • amazon prime videoやmusicなどにも(少なくともAndroidアプリからは)アクセスできなくなっている
  • 以下私の認識。後述の通りamazonの認識はこれとは異なっている
  • amazonのサポートとやり取り中。前回の記事で「週一の定期連絡をもらう」ということを書いたが、ずっと「進展なし」と伝えられている
  • 法律事務所に相談してきたが、少なくとも弁護士に依頼して裁判するのは費用対効果が悪すぎるので辛そうだとわかった

前回からの進捗のまとめ

  • 県の消費生活支援センターに行ったら親身になって対応していただいたが、企業に働きかける権限があるわけではないので、決定打にはならず
  • amazonと現状認識を合わせるためわたしがした質問とその回答
    • Q: そもそも「わたしがamazonの指示(上述の通り、これは記憶違いの誤りだった)によってamazon.comのアカウントを消したことは認めているのか」
    • A: それとわかる記録を探しているがまだ見つかっていない
    • Q: 「amazon.comのアカウントを消したらamazon.co.jpで買ったkindle本が消えるのを組織として認識していたことは認めるのか
    • A: この問題は不具合ではなく仕様。amazon.comのヘルプページに記載されているamazon.comのサポートセンターにもその旨確認した

県の消費生活支援センターで得たこと(5月21日に訪問)

法律事務所で相談したこととほぼ同じことを相談したら、amazonに電話をかけて現状を確認していただきました。そのときamazonからは「kindle本を読めるようにする方向で検討中。作業を急がせる」という回答がありました。ただしこのセンター、およびセンターがぶら下がっている組織は企業に強制力をもって何かを働きかける権限はないとのことでした。amazonが対応について結論を出したときに、それに不服があればまた間に立つことは可能とのことでした。

ここでは問題の解決に直結するような成果は得られませんでしたが、非常に親身に相談に乗っていただき、このセンターでできることはすべてやってくれたという印象を持ちました。この場を借りて感謝いたします。

amazonへの問い合わせと回答(5月22日に質問、本日26日回答)

amazonからの定期連絡では「進捗なし。今後もなにかできることはないか検討」と、同じような回答を一か月半以上繰り返されているので、いったいamazonはどういう問題意識でなにをしようとしているのかについて2つ質問した上で、こちらの希望を述べました。

1つめの質問は「amazonサポートから案内した誤った操作(amazon.co.jpアカウントと統合済のamazon.comアカウントの削除)によって問題が発生したことをamazonは認めているのか」、です。これについては、これまでの問い合わせの履歴および音源確認を行っているが、現時点ではAmazon.comアカウントを閉鎖するよう案内した対応履歴の特定には至っていないという回答でした。

2つめの質問は「上記操作によってkindleの書籍が見られなくなるといった不具合があることをamazonは認めているのか」、です。これについては、Amazon.comサイトのヘルプページにはアカウント閉鎖に伴い、他のサービスが利用出来なくなる旨記載があるため、不具合ではなく「仕様」と認識しているという回答がありました。このヘルプページについてはAmazon.comサイトでのサポート内容となるため、不明点や詳細内容の確認を希望する場合は、amazon.comへ問い合わせてほしいとのことです。ヘルプージのURLはメールに書かれていませんでした。おそらくは以下のページだと思いますが、要確認です。

https://www.amazon.co.jp/-/en/gp/help/customer/display.html?nodeId=GDK92DNLSGWTV6MP

Note: Once your account has been closed, all of the products and services accessed through your account will no longer be available to you.

仮にこの文面のことを言っているのだとしてもamazon.comのアカウントを消したらamazon.co.jpから買ったkindle本が消えたり、amazon.co.jpが提供するamazon prime video/musicなどにアクセスできなくなる説明にはならないと思いますが、amazon.co.jpとしてはこれ以上説明する気はないようなので、この疑問はamazon.comに問い合わせるしかないようです。

恐らく以下のページのことだとおもいます。このエントリを見たかたがたに教えていただきました。

https://www.amazon.com/gp/help/customer/display.html?nodeId=GDK92DNLSGWTV6MP

Note: Once your account has been closed, all of the products and services accessed through your account will no longer be available to you, across any Amazon sites globally. For example, submitting your account closure request through this website will also close your account on amazon.com, amazon.fr, amazon.com.mx, and all other global sites to the extent you use the same credentials to access services and products offered through those sites.

これをアカウントを消した際に確認しておくべきでした。というわけで争点は「amazonの指示に従ってamazon.comのアカウントを消したことを確認できるかどうか」にかかってきたようです。

2つめの質問については、この問題は仕様で影響される問題なので、現状調査およびシステムの修正による改善は見込みはないという回答がありました。わたしはもう問題が起きた後なので関係ないのですが、アカウント結合後にamazon.comのアカウントを消してはいけないという思いをあらたにしました。

最後にこちらの希望について。これまでの2つのエントリでは書いていませんでしたが、わたしはそもそも状況から考えて現在のアカウントでの現状復旧は困難と考えていて、早い段階で現状復旧ではなく返金など返金や別アカウントを新たに作った上での書籍一覧の復旧を含めた現状のアカウントでの書籍リストの回復など、アカウント復旧以外などの別の対応をしてほしいと希望していていました。しかし消費生活支援センターからの問い合わせによって、いまだ現状復旧を試み続けていることがわかりました。それではたまらないと、上記二つの質問とともに、あらためて同じことを伝えました。その結果、対応方法が決まったら知らせるといういつも通りの回答をいただきました。実際amazon.comのサポートのかたからアカウントの復旧およびamazon.co.jpで買ったkindle本の復旧は無理ということを伺った。

通話記録がある日時はおおよそわかっているので、ここからここまでの間の通話記録を確認してほしいとamazonサポート担当のかたに連絡いたしました。

amazon.comのサポートセンターへの問い合わせで得たこと (5月27日にこの節を追加)

  • アカウント結合後、amazon.co.jpのアカウントは"your account on amazon.com, amazon.fr, amazon.com.mx, and all other global sites"に該当する。つまりkindleの本などが消えたのは仕様で確定
  • わたしのamazon.comのアカウントや、それに紐づいているamazon.co.jpkindle本などは完全に削除されているので復旧は不可能。amazonのコンテンツを使いたければ別のアカウントを作るしかない
  • あとはamazon.co.jpのサポートセンターとやりとりするしかない

これからやること

- amazon.co.jpに連絡 - 「ヘルプサイトとは上記URLのことか」と質問する - 「特定できていないならこのときの通話記録を調べてほしい」と依頼(わたしはもちろん日時を知っている) - amazon.comにわたしの問題が仕様という認識なのかと問い合わせ。上述のヘルプページの記述を見るに「そうです」と返信がありそうな気はするが、一応

  • amazon.comからの「現状のアカウントでのkindle本の復旧は不可能」という見解をamazon.co.jpのサポート担当のかたに伝えて、あらためて別の対応を検討していただく
  • 個人訴訟(おそらくは「amazonの指示によって問題が起きる操作をしたかどうか」が争点になる)。やりたくないけど現実味を帯びてきた