「我々はなぜ我々だけなのか アジアから消えた多様な「人類」たち」を読んだ

タイトルが上手いなとおもって買ってしまいました。ホモ・サピエンスがアフリカからでてきて各地に散らばって…というよくある本ではなく、今の人類とは別系統のアジアにいた原人達について詳しく説明してくれています。著者はジャーナリストで、このかたが専門家に監修を受けるというやりかたです。著者のアツい語り口がなかなか面白い。

本書の中には色々な原人が出てきますが、フローレス原人の謎を解き明かすところが白眉かと。この原人の発見当時わたしもニュースを見て相当びっくりした記憶がありますが、それがどういう経緯で小さくなったのか、などなどはそのあと全く追っていなかったので発見後いままでにどういうことがあったのかが本書によってわかってよかったです。

最後に。この手の本は監修者のかたの主張メインにならざるをえないのですが、監修者のかたもそれは承知していて、なるべく自説に偏らないように配慮されたとか。こういう一文があるのは助かります。

電子書籍よりも紙の本を買うようになった

最近紙の本はほとんど買わずに電子版しか買ってなかったのですが、思うところあって努めて紙の本を買うようにしました。すると読書量が10倍くらいになりました。紙のほうが良いなと思った理由にも読書量の変化にも驚いたので、どうしてそうなったかというのを書き出してみることにしました。あらかじめ断っておきますが「任意の人について電子書籍より紙の本のほうがいい」とかいう話ではないです。

以下、なぜ紙の本に回帰したのかの理由。

  • 読書中に何かわからないことがあったりちょっと飽きたときなどについついブラウザを開いて調べだして最後はwikipediaで宇宙について調べている。紙の本では辞書をひくようなことはない
  • 電子書籍では読み終えた達成感が得にくかった。物があふれているのは嫌いな性格なんだけど、本についてはモノあるほうが安心するらしい。自分にこういう感情があったことに驚いた
  • 本を持ってページをめくるという行為が安心するらしい。こういう感情もびっくり
  • 電子ペーパーのリーダーは画面が小さい(Sonyの大画面のは高い…)、その一方でタブレットだとすぐに目が疲れてくる
  • 電子書籍専用フォーマットになっている本だと作りが雑で図表がまともに見らえないことがよくある。他にもデザインがページ単位のものより美しくないとか
  • 電源入れて(タブレットならさらにアプリ選択して…)というのがめんどくさい
  • 「あれはあの本のここに書いてたような…」というときの検索がやりづらい
  • 最近でかい本棚を手に入れたので埋めたくなった
  • 子供の前では本を読んで彼にも本を読む習慣をつけてほしかった。タブレットを触ってると読書しているのか遊んでいるのか区別できないらしい。なおPCはまだ理解できない年齢なので、それはのちのちの話

自分でもわりとしょうもないなあという理由もけっこうありますで、そう思ってしまったものはしょうがない。で、前述のように紙の本を買うようになってから読書量が10倍くらいになりました。とくに気を散らす要素が減ったこと、および、読後に達成感が得られてどんどん読もうと思うようになったというところが大きそうです。前者については以前はじめたSNSと少し距離を置いた取り組みの影響も大きそう。

satoru-takeuchi.hatenablog.com

今でも漫画は電子版を買ってます。どういうわけか漫画は達成感どうのこうのとかが気にならない。不思議だ。

emacsからvimへ移行することにした

テキストエディタを20年近く使ってきたemacsからvimに移行することにしました。移行しようと思った理由はいろいろあるのですが、「なんとなく」というのが一番近い気がします。あえて細かいところを挙げると次の通り。

  • vim流行ってるらしいので触ってみたくなった
  • 普段使う道具を別のものにして脳に刺激を与えてみたくなった
  • emacsには山ほどパッケージがあるのは知ってるが、大して使っていない。色々本を読んで試してみたけれども、しっくりくるものはあまりなくて結局標準機能ばかり使っている。実際、ここ数年.emacsはほとんど変化していない
  • 昔は「emacsはエディタではない、環境なのだ。すべてがemacsで完結するのがいいのだ」と思ってたけど、最近はもっとシンプルなものでもいいかも、と考えかたが変わってきた

上記のうち「それvimにしても問題は解決しないよ」という話もあるかもしれませんが、まあ、最初に言ったようにあくまで「なんとなく」なので。

移行は完了したわけではなく、とりあえずはvimturorを読んで基本的なところを押さえたというところです。現時点でどれくらいvimを知っているかというと「さっき"R"コマンドを知った」というレベルです。これからは数人に勧められた「実践vim」を読んで勉強しようと思っています。なお、いまはあくまで移行を開始した段階なので、「合わなかった」とか「めんどくさくなった」とかいう理由でまたemacsに戻ることもありえます。そのときはそっとしておいてください。

最後になりますが、わたしは「究極のエディタ vs 至高のエディタ」のような対立構造には興味がないし、その手のものを宗教戦争などと表現するのもそんなに好きではないです。なので「emacsを捨てるなんてけしからん」とか「Xというエディタはこんなに素晴らしいのでこれを使うべきだ」とか言われると冗談でもけっこう辛いのでやめていただけると嬉しいです。

「都市国家の誕生」を読んだ

基本的にはシュメルのことが書いています。以前読んだ下記の本のさらに簡略版といった本です(本書のほうがはるかに先に出ていますが) satoru-takeuchi.hatenablog.com

本書は「世界史リブレット」という128冊から成るシリーズものです。このうち何冊かをぱらぱらと眺めてみたところ、どれも図が多くて薄くてさらっと読めそう、かつ今の興味に会っているので、頭を休めつつ活字を読みたいという場合に一冊づつ読んでいくことにします。

「ビジネスモデルのルール」」を読んだ

日本企業の面白いビジネスモデルについて解説した本です。中には聞いたことがあるものもありましたが、おおよそ知らないことばかりで楽しめました。エプソンのプリンタ事業やセブン銀行ソニー不動産のモデルがとくに印象に残りました。ほかにも世間的にマイナーな企業の思わず唸ってしまうようなモデルについても解説がありました。単なるモデルの紹介にとどまらず、それらの共通項をくくりだして深堀りしてくれるのもよかったです。

読むにあたってとくに専門的な知識は必要ないので、私にようにこの手の知識に疎い人には新鮮に読めて楽しいと思います。

SNSとの接点を減らした

ありきたりな話なのですが、SNS(主にtwitterfacebook)に費やす時間を減らしてみたという話です。結果は上々で、時間に余裕ができたと感じた上に、集中できる時間の割合が増えました。よかったよかった。

話のきっかけは、なんとなく時間が足りないなあと思って一日のうち何に時間を使っているのかを調べたらSNSに費やしている割合が馬鹿にならないとわかったことです。その中でも使い方には2パターンありました。ひとつは仕事などの大事な作業中に割り込み処理のように細切れに時間を使っているというものです。わたしはコンテキストスイッチのコストが高いので、この時間を減らしてみるとよいのではないかと思いました。もうひとつは大事な作業をしていない、いわゆる暇な時間です。このときにはまとめて時間を使ってSNSに張り付いていることが多かったです。場合によってはポーリングして更新を待っているような不毛なこともありました。思い起こせばSNSを使っていなかった頃はこのような時間に読書や仮眠などの別のことをしていたはずです。こちらも減らしてみると余暇の過ごし方が多様化するのではないかと思いました。たまには脳をアイドル状態にすることも重要です。

最初は完全にやめようかなとも思ったのですが、それはちょっとよくないと判断したので没にしました。主に使っているtwitterfacebookの2つ、それぞれについて理由を説明します。twitterは情報収集や頭の中のもやもやを吐き出す思考整理およびストレス解消の場として活用しています。いつのまにやらフォロワーが数千人にも達していることによって個人事業を含めたいろいろな活動の広報の場としても機能しています。facebookは親戚、および非エンジニアの知人に年賀状を書く感覚で、あまり公にはしたくない情報を書き込む場として使っています。いずれも一気にナシにするのはちょっとデメリットが大きすぎるので、最初に書いた通り、この案は没にしました。

いろいろ考えた結果、2つの対策を打ちました。1つはスマホからSNSのアプリを消して、かつ、ブラウザからもIDとパスワードの情報を消すことです。これによってアクセスが面倒になったので、とくにスマホからSNSを使う頻度がかなり減りました。ダイレクトメッセージについては人とリアルタイムで連絡をとるときに使っているので別途専用アプリをインストールしました。もうひとつは暇になったなと思ったときに何となくSNSを開くのではなく、とりあえず本を手に取ったり目を瞑ったりする癖をつけました。こちらもうまく働いて、いろいろな雑学を得ながら頭も休まるというよい結果を生みました。

今後もこんなかんじで適宜生活の品質を上げていこうかと思います。

「鉄道の日本史 - 大正・昭和戦前編」

以前読んだ「鉄道の日本史 - 幕末・明治編」の続編です。

satoru-takeuchi.hatenablog.com

前回の続きから太平洋戦争の終戦までを扱っています。前作に続いて楽しく読めました。前作は初耳のことがほとんどでしたが、本書では「聞いたことはある」くらいの話が増えてきました。時代を経るにしたがってどんどん便利になっていった鉄道がしだいに不便になり、果ては保守もままならないようになっていく様から、当時の世情がどんなものだったかをうかがい知れました。

本書では3つのことがとくに印象に残りました。ひとつめは以前住んでいた沼津にまつわる記述です。沼津から国府津まで延びている2つの路線、富士山を廻る御殿場線と箱根を超える東海道線にまつわるエピソードを見られたのは懐かしい思いがしました。ふたつめは小林一三氏がはじめた「土地を買い上げて路線を通して発展させてから土地を活用あるいは売却して利益を得る」というビジネスモデルが(前作を含めて)過去の経緯付きで知れたのが良かったです。最後のみっつめは本書の最後の文です。地味ながらも技術者たちの矜持が感じられる、なかなか心に刺さるものでした。

ここまでくれば戦後から平成までのものも読みたいですね。まだ出ていないようですが、いずれ出るのを楽しみにしています。