「鉄道の日本史 - 大正・昭和戦前編」

以前読んだ「鉄道の日本史 - 幕末・明治編」の続編です。

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前回の続きから太平洋戦争の終戦までを扱っています。前作に続いて楽しく読めました。前作は初耳のことがほとんどでしたが、本書では「聞いたことはある」くらいの話が増えてきました。時代を経るにしたがってどんどん便利になっていった鉄道がしだいに不便になり、果ては保守もままならないようになっていく様から、当時の世情がどんなものだったかをうかがい知れました。

本書では3つのことがとくに印象に残りました。ひとつめは以前住んでいた沼津にまつわる記述です。沼津から国府津まで延びている2つの路線、富士山を廻る御殿場線と箱根を超える東海道線にまつわるエピソードを見られたのは懐かしい思いがしました。ふたつめは小林一三氏がはじめた「土地を買い上げて路線を通して発展させてから土地を活用あるいは売却して利益を得る」というビジネスモデルが(前作を含めて)過去の経緯付きで知れたのが良かったです。最後のみっつめは本書の最後の文です。地味ながらも技術者たちの矜持が感じられる、なかなか心に刺さるものでした。

ここまでくれば戦後から平成までのものも読みたいですね。まだ出ていないようですが、いずれ出るのを楽しみにしています。