ゼロほど怖いものはない

わたしのゼロに対する考え方を書きます。たくさんの人が似たような話をしている手垢のついたネタですが、自分の言葉で一度考えを整理したくて書きました。

世の中にはゼロという言葉が踊り狂っています。私の業界でいうとバグゼロ、工場で言えば事故ゼロなどです。こういうのは「そうあれたらいいな」くらいの理想としてはいいのですけど、必達目標にしてしまうと非常に危険なものに化けます。

なぜかというとゼロにするのが多くの場合非常に難しいからです。たとえばバグの話でいうと、かなり単純化して言うと、「バグゼロ必須!」という人はバグの数を20から10に減らすコストが100万円だとして10から0にするコストも同程度と考えているフシがあります*1

実際には、こちらも単純化するとバグの数を10%減らそうとするごとに100万円かかるので0にするのは至難の業、といったところです。

では事実上無理なことを必ずやれと言われた人はどうするかというと、嘘をつきます。バグが出た事実を完全に握りつぶしたり、バグではない別の言葉で置き換えたり、などなどです。仮にバグが出たとしても上司には実際の理由よりも耳障りの良いもっともらしい理由を述べるでしょう。そうしないと吊るし上げがより苛烈になるからです。

ということを踏まえてわたしはゼロという言葉を振りかざす人も、かなりの長期間それを達成できているという情報を見ても、凄いというよりは、むしろあまり信用できないと判断します。似たような意味で100%をやたら強調するのも同じく危ないと感じます。

*1:そうでなく後述の認識を持つ人が立場的にこういうことを言う場合もありますが