休むことがどれだけ難しいか、および、私がそういうときにどう考えてきたかについて書きます。
プログラミングをはじめとしてコンピュータが好きであればあるほど*1、やる気があればあるほど休むことが難しいです。若くて気力体力が有り余っている場合はとくにそうで、朝から晩までプログラミングをしていてもあまり疲れを感じず、かつ、寝て起きたらスッキリです。ところが次第にそうではなくなってくることが多いようです。私が実際にそうでした。私の場合は以下のような流れで休みかたを忘れていきました。
- 10代後半でコンピュータに出会ったことによって興味の持てる対象が激増した
- コンピュータについての知識を得るために毎日昼夜を問わずに作業していた
- 休憩という概念がなく、寝る(気絶する)まで作業して、起きたらまた作業という状態になった。若くて体力があったので死ななかった
- 生活のリズムが乱れて疲労が蓄積していった。が、茹で蛙のごとく、本人は気づかない
- いつしか疲れているのが当たり前になってきた。どういう状態が元気なのかがわからなくなったし、そもそも休んでいないので休みかたを忘れた。これも本人は気づいていない
- 若くなくなって体力がなくなってきたのでつらくなってきた
今の世の中ではSNSなどで否が応でも自分と他人を比較してしまう機会があるので、「自分はまだまだ努力が足りない」「自分が休んでいる間にも他の人は先に進んでしまうのでは」「あの凄い人は一日中何かやってるっぽい」などという考えに陥りがちです。実際若者のtwitterを見ているとそういう考えにとらわれている人をかなり見かけます。これも私に当てはまりました。
無理を重ねれば重ねるほどに心身ともに疲労が溜まってきます。それは能率の悪さ、疲労感、体の凝り、姿勢の悪さ、イライラ、焦燥感、睡眠不足、など、さまざまな形で顕在化してきます。不調が一気に現れる場合はまだいいのですが、この手の症状は軽いものからはじまって次第に重くなっていくので、自分にとっての「好調」のレベルがどんどん下がっていき、身心は悲鳴を上げているので自分ではまだ好調のつもりでいることもあります。加齢に伴って昔大丈夫だったものがそうでなくなることも多々あります。この状態がどんどん進むと、いずれ腰が破壊されて座れなくなったり、メンタルを患ったり、不可逆に身心を破壊することになりかねません。
このようになったときに「休む」という単純な改善方法があるのですが、そう簡単にはいきません。なぜならずっと作業をしていたくて、休んでいる暇などない、と、思っているからです。疲れている、休みたい、でもどうやって休めばいいかわからない、いざ休もうとしても気づいたら作業している、そんなことはないでしょうか。筆者は10年以上そんなかんじでした。こういう辛い状況を抜け出すために筆者がいろいろと取り組んだ結果、役に立ったものを書いておきます。もちろん人によって何がいいかは全然違いますが、上記のような、いかにもバッドエンド一直線のようなルートに自分も乗っているなと思う人は参考にしてください。
第一に考え方を変えました。無理してでも何もしない状態を作って数日間過ごしてみて、自分の体調の変化を見てみます。それで改善するようなら、休んだ後の状態が自分本来の姿で、もともとは劣化していた効率の悪い状態で延々と作業していたことになります。疲れた状態でしっかり休むと、効率のいい状態で作業できる、という意識を体感すると、休むことに段々抵抗がなくなってきました。
第二にインターネットや電子機器から自分を切り離す時間を設けました。デジタルデトックスとか言われたりもするやつですね。ツイ廃のわたしにとってはとくにSNSとの切り離しが効果的だったと思います。かつては一息ついて何も考えずにぼーっとしていたときで画面を見てtwitterをしてたりすることがあったので、それを控えるようにしました。気を付けようと考えて気を付けられるようなものではないので、以下のように強制的に使えなくする仕組みを導入しました。
そこまでするなら「やめればいいのでは」と思われるかもしれませんが、情報発信や普段気軽に会えない人と話したりするのにはSNSは非常に便利なツールなので、無理にやめはしませんでした。
第三にストレッチをはじめました。私の場合は昔に比べて明らかに体が硬くなっていたり姿勢が悪くなったりしていたので、とにかく執拗にストレッチをしました。とくに電子機器をさわるときに酷使しがちな首、肩などを重点的にやりました。この効果は目覚ましく、かなりの能率改善を達成できました。今では決まった時間にやるというより、暇なときはまずはストレッチ、というくらい習慣化しています。
第四にリラックスできる趣味を持つようにしました。わたしは昔からコンピュータが大好きで、就職してからも会社ではプログラミング、家に帰っても同じようなことをしたり、別のことをしていると思いきや会社とは別分野について何かしていたりという具合でした。この考え方ですといちおう仕事と趣味を切り離しているといえなくもないのですが、頭脳は酷使し続けるので、疲れも溜まり続ける。この状態を改善するため、数年前からコンピュータとは一切関係のない、かつ、頭が休まる趣味を探して、現状では写真を撮ったりコーヒーを淹れたりという趣味を見つけました。これまでは疲れたら寝るくらいしかやることがなかったのですが、リフレッシュする方法に多様性が生まれたので、とてもよかったと思います。
第五に、身心の作りが違う他人と同じ土俵で勝負しようとするのをやめました。たとえば一日4時間睡眠で平気といったようなショートスリーパー、業務でのプログラミングに疲れたら趣味プログラミングで疲労を回復させるアンデッドモンスターのような人がいるのも否定しませんが、自分ではどうなるかを試してみたところ、残念ながら自分はそうはいかないという認識をしました。その結果、無理なものは無理、自分のハードスペックに合ったことをするのが一番、と思えるようになりました。ここで重要なのは、どういう状態なら自分は元気か、パフォーマンスが出せるか、という感覚を取り戻して初めてこの取り組みが可能になったということです。
上記のことは最初から徹底できたわけではなく、だんだんとできるようになったと記憶しています。何事も一気にすべて解決とはいかないものです。なにかを勉強するときと同様、小さな積み重ねを繰り返していけばいいのだと思います。
*1:別にコンピュータに限りませんが…