「Linuxカーネルプログラミング」という本を翻訳しました
「Linuxカーネルプログラミング」という本を翻訳しました。明日(2025年7月28日)発売です。
原著はこちら。
Linuxカーネルを扱った日本語の書籍といえば、「詳解Linuxカーネル」や「Linuxカーネル2.6解読室」が有名です。
どちらもLinuxのコードレベルまで踏み込んだ解説書でした。それに対して本書はコードの説明もしますが、カーネルモジュールの開発によってLinuxの主要なサブシステムを理解するというアプローチをしています。これは「なにかを学習するには手を動かすとよく身につく(意訳)」という著者の考え方を反映しています。
さらにいうと、前述の2冊は発売から既に20年近くが経過していますが、本書は2024年時点での最新Linuxカーネルについて扱っています。目まぐるしくソースコードが変化するLinuxにおいて、新しいカーネルを扱っているというのは大きなメリットです。
Linuxカーネルのコードは膨大ですが、本書はその根幹を成す重要のサブシステムを一通り説明しています。以下、本書の目次をO'Reilly Japnの公式サイトから引用します。
- 1章 Linuxカーネルプログラミング入門
- 2章 Linuxカーネルのビルド
- 3章 カーネルモジュールの作成
- 4章 プロセスとスレッド
- 5章 メモリ管理
- 6章 カーネルメモリ確保
- 7章 CPUスケジューラ
- 8章 カーネルの同期
目次にはあらわれていませんが、随所にセキュリティ機能についても触れられていますし、仮想マシンやコンテナの実現に欠かせないcgroupsについても言及されています。仮にカーネルプログラミングをしないにしても、最新カーネルの機能を大まかに知る助けとなるでしょう。
余談ですが、本書の表紙にはタスマニアデビルが描かれています。「LinuxといえばマスコットはペンギンのTuxでは?なぜタスマニアデビル?」と思う方もたくさんいるでしょう。しかし、実は一時期LinuxのマスコットはタスマニアデビルのTuzだったのです。というマニアックな過去の経緯から本書の表紙はタスマニアデビルにしました。なお、原著はPackt Publishingという出版社から出ていて表紙も全然違っていたのですが、日本語版は動物の表紙で名が通っているO'Reillyから出版されることになったため、このようになりました。
さらに余談ですが「Linuxカーネル2.6解読室」は当時著者陣が所属していた(今も全員いらっしゃるかもですが)VA Linux社の技術者たちが「新Linuxカーネル解読室」というアツい連載をしているので、興味のある方は御覧ください。
以上



