はじめに
世間での株式投資のイメージって、表題のように机一杯に画面が並んで、それぞれの画面に線とか棒とかがいっぱい並んでて、机の前のトレーダーがパソコンカタカタやってる、っていうステレオタイプなやつではないでしょうか。映画とか漫画ではそんなかんじのが多いですね。でも株式投資にもいろいろあって、ああいうことを本当にしている人もいれば、全然やってない人もいます。
本記事はああいうのが何を意味するのかとか、全然やってない人は何してるかについて書いています。
チャートと板
まずはよくある株取引している人が見ている一枚一枚の画面の意味から。あそこに映っているのは大きく分けて2つ、チャートと板です。チャートは株価の上下をグラフにしたものです。グラフ化されている銘柄の株を買っていれば上がるとうれしい、さがるとかなしいというわかりやすいやつです。暴落すると直角にスコーンと下がるのはさまざまなフィクションでよく見られますし、ここ最近リアルに起きてますね。
もうひとつの板は、対象の株を何人がどれだけの価格で買いたいか、売りたいかというのがわかります。だいたい次のようなかんじになってます。
売気配株数 | 気配値(円) | 買気配株数 |
---|---|---|
10000 | 1000 | |
5000 | 990 | |
980 | 20000 | |
970 | 30000 |
この板は次のように解釈できます。
- 一株1000円なら売ってもいいという注文が10000株ぶん(売気配数)ある
- 一株990円なら売ってもいいという注文が5000株ぶんある
- 一株980円なら買ってもいいという注文が20000株ぶん(買気配数)ある
- 一株970円なら買ってもいいという注文が30000株ぶんある
これは、「この時点で990円で買うといえば買える、980円で買うといえば売れる」という平衡状態です。板情報は売買が活発な株であればあるほど数値がめまぐるしく変動します。たとえば暴落時はみんなが売りたがるので、売気配株数がどんどん増え、かつ、気配値も下がっていきます。
短期投資
映画とかに出てくるステレオタイプのトレーダーは注目している銘柄のチャートとか板とかを複数の画面にずらっと並べて監視して、これらの情報、および、天災や政策、会社の決算情報などの株価に影響しそうな情報を使って株を売買しています。このとき、人より少しでも速く情報を得る&売買すると利益が最大化されるために彼らは画面にかじりついているというわけです。この方法は短期間に株を売買する傾向にあるため、短期投資と呼ばれます。
このIT社会、株式はなにも人間が画面の前に張り付いて売買する必要はありません。プログラムを使ってチャートやら板情報やらを証券会社のサーバから定期的に読んできて、何が起こればどうするというロジックをあらかじめ決めておけば、あるイベントが発生すると人間が手で操作するよりも高速に対処できます。こういうのをアルゴリズム取引といいます。
もっというと判断基準を全部プログラムに落とせるという人は画面の前にかじりつく必要は無いので、短期売買を繰り返すトレーダーでありながらチャートや板情報を普段は一切見ない、ということは十分ありえます(筆者はこの手の投資をしないので実情は知らないです)。もしかするみなさんの隣で仕事をしている人は、家のサーバではアルゴリズム取引プログラムを動かしていて巨万の富を得ている敏腕トレーダーかもしれません。
長期投資
長期投資と呼ばれる投資スタイルの場合は、チャートと板の出る幕はあまりないです。長期投資は株価の次のような一般的な特徴を利用します。
- 上下が非常に激しい。短期間に半分になったり倍になったりは当たり前
- 数年、数十年のスパンで見ると上がる傾向にある*1
これによって、ある会社の株を買って持ち続けておくと、数年後、数十年後にはいいかんじに高値になっていることが、そこそこの確率で期待できます。このときチャートや板の出る幕が無い理由は次の通りです。
- 買うときに細かい価格の違いを気にしても誤差範囲
- 長期間売らないと決めているのならば途中経過はどうでもよい。むしろ見ると一喜一憂するので害ですらある
なお、買う株をどうやって選べばいいかについては本記事の範囲を外れるので書きません。し、そんなのわかるんだったら教えてほしいです。おかねほしい。
*1:もちろん下がることもあるし、会社がつぶれて無価値になることもあります。あくまで傾向