株価が大暴落しても株式取引してる人が全員人生終わるわけじゃないよ

世界中で株が暴落してますね。大変ですね。というご時世、twitterなどを見ていると人生終わった人がいっぱいいるので、それに引きずられて「株式取引怖すぎ」、「株買ってる人はみんな人生終わったんでは」、という人がいっぱいいるようです。でも本当はそういうわけではないですよ、ということを書きます。

株の大暴落によって株式取引してる人の人生が終わるか…といわれると、そうなる人もいるし、そうならない人もいます。これはどういう種類の取引をどれだけやっているかによります。

株式取引にはたくさんの種類があるんですが、大多数の人がやっているのはいわゆる現物株の売買です。これはA社の株を100万円分買って、その後値上がりすれば得、値下がりすれば損、というやつです。この現物株を生活に影響のない余裕資金で買っている限りは、最悪でもA社がつぶれてA社株の価値が0円になるだけです。そりゃもちろん辛いですけど、首くくるようなものではないです。そもそもA社が潰れなくて単に株価が下がっているだけであれば、株を売却するまでは具体的な損害が出るわけではないので*1、しばらく売るつもりはなくて何十年投資するつもりの人にとっては途中の値動きはどうでもいいので、大したことない話です。この手の人達はこれを機会にとせっせと株を買い足したりもします。

現物株を買って人生失うのは生活に必要な運転資金も株式取引に突っ込んだり、最悪借金までしている場合です。こうなると生活が破綻します。これは他のものでも同じことがいえるので、特別に株が怖いというわけではないです。大火傷したくなければ株式取引は余裕資金で現物取引だけにとどめましょう。

さきほど株式取引にはいろいろなものがあるといいましたが、その中に信用取引というのがあります。こいつはちょっとややこしいんですが、端的にいうと証券会社から借りた現金や株を売買します。これでうれしくなるのは次のようなケースです。

  • 株価が上がると嬉しいケース: 手元に100万円しかないけれども証券会社に1000万円借りて、そのすべてを使ってA社株を買った。そのあと2倍になったときに売ったら2000万円を得られた。借りた1000万円を返しても(ほんとは当然利子がかかるが、ここでは無視する)1000万円の利益が残る。手元資金だけではこれは不可能
  • 株価が下がると嬉しいケース: 証券会社にA社株100万円分借りて、すべて売る。そのあと同株の価格が半分になったときに買い戻して、証券会社に借りた株を返す。こうすると株価が下落しているのに50万円利益を出せる。いわゆる「空売り

その一方で、上記の期待と逆のことが起きると悲しいことになります。株価が上がると嬉しいケースについては、仮にA社が潰れて株の価値が0円になると、手元に100万円しかないのに証券会社に1000万円を返さなくてはならなくなって、ゲームオーバーです。人生終わるかもしれません。株価が下がると嬉しいケースについても、おもわくと異なり株価が上がると悲惨です。たとえばA社株が倍になると、100万円借りたのに200万円返さなくてはならなくなります。

ただし本当はここまで極端なことになるまえに保証金というしくみによって早めにゲームオーバーが訪れます。とくに大暴騰、大暴落局面では何の手を打つ暇もなく訪れます。ここでは保証金についてはこれ以上触れませんが、このような局面で「追証が…」とか言ってる人は信用取引をしていて人生終わった人の可能性があるのでそっとしておいてあげてください。

ついでに書いておくとFXというのは信用取引の株を通貨に置き換えて、かつ、手元資金に対して借りられる現金や通貨の割合をさらに増したエクストリームスポーツなので、大金持ちになる確率も人生終わる確率も、両方高いです。

*1:株を買った金額より安い金額で売ることを「損失の確定」と呼びます