読書感想文: 進化する銀行システム 24時間365日動かすメインフレームの設計思想

私はメインフレームについての知識がほとんど無かったため、以前からメインフレームに関する本を読みたいと思っていました。メインフレーム実践ハンドブック z/OS(MVS),MSP,VOS3のしくみと使い方という本があることは知っていましたが、分厚くてお固そうなのでなかなか手を出せないまま時が過ぎていました。もっとお手軽なものが無いかと思っていたら、まさにこれだと言わんばかりのタイトルの本書を見つけたため、衝動買いしてしまいました。

本書の主なコンテンツはメインフレームを使った銀行システムの歴史、メインフレームのハードウェア、ソフトウェア面の長所、そして今後の銀行システムの行方についての予想などです。銀行システムの歴史については、私が生まれる前から現在まで、どのような事情によって何ができるようになってきたのかが紹介されており、興味深かったです。他にも、これまで聞いたことがあるだけだった、あるいは初耳だったメインフレーム固有の概念、用語などについて概要ながら理解できたのが良かったです。以前から「メインフレームWIndowsLinuxとは根本的に別物である」という話を折に触れてメインフレーム経験者から聞いていましたが、その意味がよくわかりました。また、メインフレーマ経験者が時折使う謎の用語がメインフレーム用語だったと気づくこともしばしばでした。

基本的には説明が丁寧でわかりやすいのですが、ソフトウェアに関する説明はやや急ぎ足だったという印象がありました。メインフレーム初学者の私にとっては、初見の頭字語が数ページに渡って何十個も怒涛のように説明され続けるのはなかなか辛かったです(私の理解力の問題かもしれませんが…)。

最後に、書評ではないのですが、ぜひメインフレーム畑のかたにこの本を読んでいただいた上で感想を聞きたいなと思いました。