SNSとの接点を減らした

ありきたりな話なのですが、SNS(主にtwitterfacebook)に費やす時間を減らしてみたという話です。結果は上々で、時間に余裕ができたと感じた上に、集中できる時間の割合が増えました。よかったよかった。

話のきっかけは、なんとなく時間が足りないなあと思って一日のうち何に時間を使っているのかを調べたらSNSに費やしている割合が馬鹿にならないとわかったことです。その中でも使い方には2パターンありました。ひとつは仕事などの大事な作業中に割り込み処理のように細切れに時間を使っているというものです。わたしはコンテキストスイッチのコストが高いので、この時間を減らしてみるとよいのではないかと思いました。もうひとつは大事な作業をしていない、いわゆる暇な時間です。このときにはまとめて時間を使ってSNSに張り付いていることが多かったです。場合によってはポーリングして更新を待っているような不毛なこともありました。思い起こせばSNSを使っていなかった頃はこのような時間に読書や仮眠などの別のことをしていたはずです。こちらも減らしてみると余暇の過ごし方が多様化するのではないかと思いました。たまには脳をアイドル状態にすることも重要です。

最初は完全にやめようかなとも思ったのですが、それはちょっとよくないと判断したので没にしました。主に使っているtwitterfacebookの2つ、それぞれについて理由を説明します。twitterは情報収集や頭の中のもやもやを吐き出す思考整理およびストレス解消の場として活用しています。いつのまにやらフォロワーが数千人にも達していることによって個人事業を含めたいろいろな活動の広報の場としても機能しています。facebookは親戚、および非エンジニアの知人に年賀状を書く感覚で、あまり公にはしたくない情報を書き込む場として使っています。いずれも一気にナシにするのはちょっとデメリットが大きすぎるので、最初に書いた通り、この案は没にしました。

いろいろ考えた結果、2つの対策を打ちました。1つはスマホからSNSのアプリを消して、かつ、ブラウザからもIDとパスワードの情報を消すことです。これによってアクセスが面倒になったので、とくにスマホからSNSを使う頻度がかなり減りました。ダイレクトメッセージについては人とリアルタイムで連絡をとるときに使っているので別途専用アプリをインストールしました。もうひとつは暇になったなと思ったときに何となくSNSを開くのではなく、とりあえず本を手に取ったり目を瞑ったりする癖をつけました。こちらもうまく働いて、いろいろな雑学を得ながら頭も休まるというよい結果を生みました。

今後もこんなかんじで適宜生活の品質を上げていこうかと思います。

「鉄道の日本史 - 大正・昭和戦前編」

以前読んだ「鉄道の日本史 - 幕末・明治編」の続編です。

satoru-takeuchi.hatenablog.com

前回の続きから太平洋戦争の終戦までを扱っています。前作に続いて楽しく読めました。前作は初耳のことがほとんどでしたが、本書では「聞いたことはある」くらいの話が増えてきました。時代を経るにしたがってどんどん便利になっていった鉄道がしだいに不便になり、果ては保守もままならないようになっていく様から、当時の世情がどんなものだったかをうかがい知れました。

本書では3つのことがとくに印象に残りました。ひとつめは以前住んでいた沼津にまつわる記述です。沼津から国府津まで延びている2つの路線、富士山を廻る御殿場線と箱根を超える東海道線にまつわるエピソードを見られたのは懐かしい思いがしました。ふたつめは小林一三氏がはじめた「土地を買い上げて路線を通して発展させてから土地を活用あるいは売却して利益を得る」というビジネスモデルが(前作を含めて)過去の経緯付きで知れたのが良かったです。最後のみっつめは本書の最後の文です。地味ながらも技術者たちの矜持が感じられる、なかなか心に刺さるものでした。

ここまでくれば戦後から平成までのものも読みたいですね。まだ出ていないようですが、いずれ出るのを楽しみにしています。

「通貨の日本史」を読んだ

通貨の観点から日本の歴史を振り返る本です。以前紹介した道路の日本史とコンセプトは似ています。

本書は日本の通貨を無文銀銭から現在流通しているもの、果てはSUICAビットコインまで紹介しています。それぞれの通貨についてどういう歴史的事情によってどんな意図に生まれたのか、それが世の中に受け入れられたのか(例えば2000円札は受け入れられなかった)が書いてあります。中には全然知らなかったものもあったので楽しめました。古代から貨幣の材料になる金や銀、およびそれらから成る貨幣そのものが貿易によって世界を移動してきた歴史などもよかったです。「お金ってなんだろう」と思っている人にはちょうどいい本だと思います。

「C++初心者からの脱出」を読んだ

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よくありそうなタイトルのC++の入門書ですが、中身もよくありそう…ではないです。「文法やライブラリを一から説明して退屈なサンプルプログラムを作る」といったありきたりの入門書とは一線を画し、C++が持つ膨大な機能の中からいくつかを選んで「これはこう使うとよい」「この機能は存在はしているけど使わないほうがいい」という意見をきっちりとした理由付きで書いている本です。筆者の星野さんが企業のインフラを支える下記のようなC++ソフトウェアをC++で長年書いてきたエンジニアであることもあって、それぞれの意見は観念的なものではなく、実践的です。これらの意見が唯一絶対なものとは言いませんが*1C++初心者がモダンなC++プログラムを書く上で大いに参考になる本だと思います。

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本書の対象読者は「C++使ったことあるけどどういう書き方がいいのかわからない」というような人です。その一方で、あくまで本書は「C++初心者」向けの本であって「プログラム初心者」向けの本ではないということが言えます。たとえば本書の本質から外れるところについては細かいところは他の本を見てくださいと参照を示すという割り切り方をしています。わたしはC++99までは使った経験があるもののC++11以降にどんな機能が増えたのか、それらをどう使えばいいのか知らなかったクチなので、まさに想定読者だったようで、本書を非常に楽しく読めました。

ついでに言うと、C++を読み書きする予定の無い人も、C++とはどんな言語なのかということを知るための、よい読み物になると思います。

*1:筆者もそんな言い方をしていません

「科挙 - 中国の試験地獄」を読んだ

「とにかく滅茶苦茶難しい」くらいしか知らなかった科挙がどういうものか知りたかったので買ってみました。本書を読んだ結果、期待通りというかなんというか、想像以上にすさまじいものだったことがわかって非常に満足しました。隋の時代にできた頃から難しい試験だったものの時代を追うごとに不正対策など様々な事情によって複雑怪奇で難解でなものになっていく様は圧巻でした。試験の難易度に関する話もさることながら、試験中に受験生たちが置かれる過酷な環境や制度が導入された理由、各所に挿入されているそれらにまつわるえげつない逸話なども楽しめました。逸話は見ているだけで滅入ってきそうなものや思わず笑ってしまうものなど多種多様なので最後まで飽きずに読ませてもらいました。

「塩の文明史」を読んだ

塩のよいところ、わるいところから始まって、それが古代文明から現在にわたる人類の歴史にどう影響してきたか、およびこれからどうすればいいかについて書いた本です。さいきん歴史の本をいくつか読んでいたので歴史とのかかわりのところが一番楽しく読めました。このあたりにもっと着目した本があれば読んでみたいものです。

技術書典5 お08(windhole)の頒布物

来たる10/8、技術書典5のwindhole(お08)ブースにて5冊の書籍を頒布します。どれも紙版と電子版がありますが、紙版は数に限りがありますのでお求めの場合はお早目にお越しください。

techbookfest.org

それぞれの本のサンプルを公開しておきますので興味のあるかたはご覧ください。

その他、弊サークルを含め、"お05"から"お09"の5つのブースはすべて低レイヤソフトウェアを扱っています。あわせてお越しください。

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